生活習慣病
生活習慣病について
高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、痛風などのいわゆる生活習慣病は、放置すると動脈硬化が進行して、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる恐ろしい病気の原因となることが分かっています。したがって、生活習慣病は、治療のみならず予防も重要となりますが、当院でしっかりと対応させて頂きますのでご安心下さい。
また治療といいましても、必ずしも薬を飲む必要があるわけではありません。まずは普段の食事内容や食後の有酸素運動等に気をつけて頂くことで良い状態が維持できれば、それも立派な予防・治療となります。「副作用のない薬はない」とよく言われますが、当院でも、患者様の健康のため、可能な範囲で、なるべく薬に頼らない治療を目指していきたいと考えております。
それぞれの状況に応じて、食べてもよいもの、食べない方がよいもの、また目標となる検査値や体重、運動量等を分かりやすく説明させて頂きます。
代表的な生活習慣病
高血圧症
日本高血圧学会によれば、来院時の血圧測定で最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上という場合に高血圧症と診断されます。ただ、測定は1回ではなく、別の日にも行うなどして、数回の測定をもとにして診断をつけるようにします。
高血圧症では通常、自覚症状が現れにくいため、治療せずに放置する方が多い傾向にあります。このような状態が続くと、心臓から血液を送る際にその分大きな負荷(圧)を絶えず血管にかけ続けていることになるので、血管の壁は圧に耐えられるよう徐々に厚みを帯び、そして硬くなっていき、動脈硬化が進展していきます。そして心筋梗塞や脳卒中、腎不全、閉塞性動脈硬化症といった合併症を発症する可能性が高くなっていくのです。健診などで血圧が高いと指摘を受けたら、一度当院へご相談ください。
本態性高血圧と二次性高血圧
高血圧症は大きく2つに分けて考えることができます。ひとつは明らかな原因が不明とされる「本態性高血圧」です。意外に思われるかもしれませんが、このタイプの高血圧が、日本人の高血圧患者の9割を占めると言われています。ただ、これは原因が完全に特定されていないというだけで、現在までに過剰な塩分摂取の他、遺伝的要因や肥満、不規則な食生活と過食・偏食、飲酒・喫煙、運動不足などが原因として考えられています。
もうひとつは、他の病気が原因で高血圧が引き起こされる「二次性高血圧」です。甲状腺機能亢進症、副腎腫瘍、腎機能低下、睡眠時無呼吸症候群などの疾患のほか、ステロイド等の薬剤による副作用などによって発症しますが、本態性高血圧に比べると、若い世代の方にもよく見受けられます。
治療について
高血圧症の診断を受けると、当然のことではありますが、血圧を下げることが治療の目標となります。まずは食事療法(適切な減塩、野菜や果物および魚中心の栄養バランスのとれた食事 など)と運動療法(ウォーキングなどの有酸素運動)のほか、禁煙・節酒、減量といった生活習慣の改善に取り組みますが、それだけでは血圧の改善が不十分であれば、お薬による薬物療法が行われます。
糖尿病
我々が食事をすること血糖値が上昇します。また、例えば食事の前など、絶食状態が続いた時には、血糖値は低下します。このように、血糖値は日々増減を繰り返しますが、その際には、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、アドレナリン、コルチゾール、等のホルモンが血糖値を調節すべく働くこととなります。しかし実はこの中で、血糖値を下げることができるのは、インスリンのみで、他は全て血糖値を上昇させるように働くのです。従って、インスリンがうまく働かなくなると、血糖値を下げることが難しくなり、血糖値の高い状態が続くことになります。このように、主にインスリンの量や作用が低下したことによって血糖値が高く維持され、いろいろな異常が起こってくる病態のことを、糖尿病と呼んでいます。我が国には、糖尿病もしくはその疑いが否定できない人は2000万人(成人の4人に1人)おり、さらに増加傾向にあることが分かっています(平成28年国民健康・栄養調査)。
糖尿病になると、のどが渇く、尿が増える、疲れやすくなる、等の症状が出てきますが、それ以上に、動脈硬化が進展し、心筋梗塞や、脳梗塞、腎不全、下肢壊疽、網膜症などの恐ろしい病気になりやすくなることが分かっています。その結果、血液透析を導入した患者さんの原因疾患の1位は糖尿病ですし、失明した患者さんの原因疾患の2位も糖尿病(糖尿病性網膜症)であり、また、急性心筋梗塞になった患者さんを調べると、なんと8割以上の方が、糖尿病もしくはその予備群となっています。
このように、糖尿病は“合併症の病気”と言われるくらい、恐ろしい病気を合併することが明らかとなっています。そのため、糖尿病の治療の最大の目的は、合併症を防いで、健康な人と同じように寿命を全うすること、であります。当院では、糖尿病の診断から治療まで、これまでの豊富な治療経験を基にしっかりと対応させて頂きますのでご安心下さい。しかしながら、もっと大切な目的は、“早期から対応して、糖尿病にならないようにすること”だと、私は考えます。そのために、何ができるのか、何をすべきなのか、しっかりと治療、指導に当たらせて頂きます。健康診断で糖尿病の疑いありと指摘された方はもちろん、血糖値やHbA1c(過去2-3ヶ月の血糖値の平均を現す指標)が高いために要精査、もしくは要再検査と指摘された方は、是非とも一度当院へお越し下さい。
痛風
痛風とは、血液中の尿酸濃度が高い状態が続いた結果(この状態が高尿酸血症です)、尿酸が関節の中で固まって結晶になるため炎症を起こし、ある日突然、足の親指の付け根や足首、膝などの関節が赤く腫れて強烈に痛み出すものをいいます。その痛みは耐えがたいほどで、「痛風」という病名には「風に吹かれただけでも痛い」という意味合いが込められています。高尿酸血症は圧倒的に男性に多くみられますが、女性も閉経後に尿酸値が上昇することが知られています。原因としては、遺伝的な要因の他に、一般的には過食、飲酒、肥満等が影響することが知られていますが、他にも、悪性腫瘍、多血症、横紋筋融解症、甲状腺機能低下症、薬剤の副作用等が挙げられます。また、ハードな筋肉トレーニング等の無酸素運動は尿酸値を上昇させることがあるため、運動療法としてはウォーキングなどの有酸素運動がお勧めとなります。
高尿酸血症が持続すると、尿路結石ができやすくなり、また腎機能障害を引き起こしうることが知られています。また最近では、動脈硬化性の疾患である脳梗塞や心筋梗塞等にもなりやすくなることが分かってきており、積極的に治療していくことが重要となります。
治療としては、多くの病気でそうであるように、食事、運動等の生活習慣を見直すところから始めます。アルコール、特にビールの摂取は控えて水分をしっかり摂る必要があります。上述のように、無酸素運動は尿酸値を増やすため、ウォーキングや軽めのジョギング等の有酸素運動を積極的に取り入れていきます。それでも尿酸値が低下しない場合は、お薬を飲むことになります。様々な病気の元になる動脈硬化を防ぐため、尿酸値もしっかり下げるようアドバイス、治療に当たらせて頂きます。